■ 「防衛株」という言葉が気になりはじめた

高配当株を中心に投資を続けてきた自分にとって、防衛株はこれまであまり縁のない世界でした。

でも最近、ニュースを見るたびに「三菱重工が上昇」「防衛関連株が急騰」という見出しが目に入るようになってきました。保有はしていないけれど、一度しっかり調べてみようと思ったのがこの記事を書くきっかけです。

■ なぜ今、防衛株が注目されているのか

背景にあるのは、日本政府の防衛費増額方針です。

日本政府は「国家安全保障戦略」など安保3文書を改定し、防衛費を2027年度にGDP比2%へ倍増、5年間で総額43兆円程度とする方針を打ち出しました。2025年度の防衛費総額は約11兆円規模まで膨らんでおり、2027年度の目標達成に向けて段階的に増額が進んでいる状況です。

この巨額の予算が、防衛関連企業の受注残高を積み上げ、業績・株価の押し上げ要因になっています。

■ 主な防衛関連銘柄

【三菱重工業(7011)——防衛産業の頂点】

三菱重工業の防衛装備品契約実績は約1.4兆円規模で業界トップ。2位を大きく引き離す規模のの金額であり、防衛産業での圧倒的な存在感を示しています。

2026年3月期第3四半期の連結決算は、売上収益が前年同期比9.2%増、事業利益が同25.5%増と大幅な増収増益を記録。特に航空・防衛・宇宙セグメントが大きく伸長しています。

さらに2026年4月には、防衛装備移転に関する輸出ルールの緩和・見直しが進み、海外展開という新たな成長ステージへの期待が高まっています。また三菱重工業はオーストラリアの次期フリゲート案件の選定プロセスに参加しており、受注実現となれば大きな収益貢献が見込まれます。

株価は2024年春から株式分割等を考慮した実質ベースで約4倍に上昇しており、アナリストのコンセンサスは「買い優勢」。ただし高値圏での新規参入にはそれなりのリスクが伴います。

【川崎重工業(7012)——潜水艦建造の独占的地位】

川崎重工業の防衛装備品契約実績は約6,000億円規模で、前年比で大幅増という大幅な伸びを見せています。国内で潜水艦を製造できるのは同社と三菱重工業だけであり、今後も安定して受注することが期待されます。

2025年3月期通期決算では受注高・売上高・事業利益がいずれも過去最高を更新しています。

【IHI(7013)——戦闘機エンジンの核心】

IHIは防衛分野では主に戦闘機用エンジンの開発・製造において中核を担っています。F-35のエンジン国内最終組立・検査を行うほか、次期戦闘機(日英伊共同開発・GCAP)のエンジン開発プロジェクトにも参画しています。

■ 高配当株投資家から見た防衛株の注意点

防衛株に興味を持ちつつも、正直に言うといくつか気になる点があります。

①配当利回りは高くない
三菱重工・川崎重工・IHIはいずれも配当利回りが1〜2%台と、高配当株とは言えません。値上がり益を狙う「グロース株」的な性格が強い銘柄です。

②すでに株価が大きく上昇している
主力関連銘柄の株価は基本的に右肩上がりとなっており、「割安感」「上値余地」には乏しいかもしれません。高値圏での新規参入には慎重な判断が必要です。

③倫理的な観点
「戦争関連の会社に投資していいのか」という個人的な価値観も、人によって分かれるところです。これは正解のない問いですが、投資前に自分なりの答えを持っておくことが大切だと思っています。

■ まとめ——防衛株は「高配当株」ではなく「国策成長株」

調べてみてわかったのは、防衛株は高配当株投資とは少し性格が違うということです。

配当よりも値上がり益を狙う、国策という強い追い風がある、さらに輸出ルール緩和で海外展開という新たな成長ステージへの期待も加わった——ただし株価はすでに大きく上昇している。そんな銘柄群です。

「防衛費増額という流れは長期的に続く」という観点では魅力的ですが、高値圏での参入リスクと配当利回りの低さを考えると、高配当株メインの自分のポートフォリオには現時点では組み入れていません。

それでも、今の日本株市場を理解する上で、防衛株の動向は無視できないテーマだと感じています。

この記事はあくまで情報提供を目的としています。投資にはリスクが伴います。投資判断はご自身の責任のもと、最新情報に基づいて行ってください。

数値・情報は執筆時点(2026年5月)のものです。最新情報は各社IR・証券会社サイトでご確認ください。